2008年 09月 09日
解説とテスト
どうやらこの詩は中学1年生の教科書に載っているようですが
友達が、その解説テキスト(指導のポイント)とテストを手に入れてくれました。
短い詩なので載せておきます。
一〇〇四 [今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです ] 一九二七,三,四
今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです
ひるすぎてから
わたくしのうちのまはりを
巨きな重いあしおとが
幾度ともなく行きすぎました
わたくしはそのたびごとに
もう一年も返事を書かないあなたがたづねて来たのだと
じぶんでじぶんに教へたのです
そしてまったく
それはあなたの またわれわれの足音でした
なぜならそれは
いっぱい積んだ梢の雪が
地面の雪に落ちるのでしたから
雪ふれば昨日のひるのわるひのき
菩薩すがたにすくと立つかな
まず、そのテキストには
「もう一年も返事を書かないあなた」とは、一年ぶりに降った雪のことを指しているとありました。はたして、そうでしょうか。
書いた人がどこに住みどういう人かを全く無視すれば、そうといえなくもありません。
でも、この詩が書かれたのは3月。
賢治は岩手県に住んでいました。
3月に、一年ぶりに降った雪、というのは無理があると思います。
この解説をした人はなぜ、断定するのでしょうか。
テストのほうを見てみます。
この詩を読んで、次の問に答えよ、というものです。
ちなみにテストには作品番号だけで、日付はありません。
さらに最後に添えられている短歌も省いてあります。
問一 この詩がいつ頃を題材にしていますか
ア 春が間近に近づいた頃
イ 春が終わりを告げる頃
ウ 冬の気配を感じさせる頃
エ 冬の寒さが厳しい頃
これには難なく答えることができます。
問二 「大きな重いあしおと」は、何の音をたとえたものか。
詩の中の言葉を用いて、二十字以内で答えなさい。
考えてみましょう。
これも何とか答えられます。
問題の「問題」は
問三です。
問三 「あなたのまたわれわれの足音」にこめられた「わたくし」の気持ちを、次から選び記号で答えなさい。
ア 春になるとあなたが訪ねてきてくれるので私は迎えに行こう。
イ 春になったことで、自分だけでなく相手も(数文字欠落)ことを思い出しているだろう。
ウ 春は相手のところだけでなく、自分のところにもやってきてくれるのだろうか。
欠落しているところはおそらく、「自分の」と言う文字が入ると思います。
答えがわかりますか?
わたしにはどれだけ考えてもわかりません。
というか、この中からは永久に選べません。
今私が中学一年当時のかわいい(?)少女だったら
一生懸命考えて、どれかに丸をつけるでしょう。
でも、今の自分ならこんなテストは白紙で出します。
あるいは自分の意見を長々と書いて出したりして・・・・?
by signaless5
| 2008-09-09 00:00
| 賢治