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解説とテスト

賢治の詩[今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです]についての続きです。

どうやらこの詩は中学1年生の教科書に載っているようですが
友達が、その解説テキスト(指導のポイント)とテストを手に入れてくれました。

短い詩なので載せておきます。


一〇〇四 [今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです ]  一九二七,三,四

 今日は一日あかるくにぎやかな雪降りです
 ひるすぎてから
 わたくしのうちのまはりを
 巨きな重いあしおとが
 幾度ともなく行きすぎました
 わたくしはそのたびごとに
 もう一年も返事を書かないあなたがたづねて来たのだと
 じぶんでじぶんに教へたのです
 そしてまったく
 それはあなたの またわれわれの足音でした
 なぜならそれは
 いっぱい積んだ梢の雪が
 地面の雪に落ちるのでしたから

      雪ふれば昨日のひるのわるひのき
      菩薩すがたにすくと立つかな


まず、そのテキストには
 「もう一年も返事を書かないあなた」とは、一年ぶりに降った雪のことを指しているとありました。はたして、そうでしょうか。

書いた人がどこに住みどういう人かを全く無視すれば、そうといえなくもありません。
でも、この詩が書かれたのは3月。
賢治は岩手県に住んでいました。
3月に、一年ぶりに降った雪、というのは無理があると思います。

この解説をした人はなぜ、断定するのでしょうか。


テストのほうを見てみます。

この詩を読んで、次の問に答えよ、というものです。
ちなみにテストには作品番号だけで、日付はありません。
さらに最後に添えられている短歌も省いてあります。

 問一 この詩がいつ頃を題材にしていますか
  ア 春が間近に近づいた頃
  イ 春が終わりを告げる頃
  ウ 冬の気配を感じさせる頃
  エ 冬の寒さが厳しい頃

これには難なく答えることができます。

 問二 「大きな重いあしおと」は、何の音をたとえたものか。
 詩の中の言葉を用いて、二十字以内で答えなさい。

考えてみましょう。
これも何とか答えられます。

問題の「問題」は
問三です。

 問三 「あなたのまたわれわれの足音」にこめられた「わたくし」の気持ちを、次から選び記号で答えなさい。
  ア 春になるとあなたが訪ねてきてくれるので私は迎えに行こう。
  イ 春になったことで、自分だけでなく相手も(数文字欠落)ことを思い出しているだろう。
  ウ 春は相手のところだけでなく、自分のところにもやってきてくれるのだろうか。
                      
欠落しているところはおそらく、「自分の」と言う文字が入ると思います。

答えがわかりますか?

わたしにはどれだけ考えてもわかりません。
というか、この中からは永久に選べません。

今私が中学一年当時のかわいい(?)少女だったら
一生懸命考えて、どれかに丸をつけるでしょう。
でも、今の自分ならこんなテストは白紙で出します。

あるいは自分の意見を長々と書いて出したりして・・・・?
by signaless5 | 2008-09-09 00:00 | 賢治