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かりそめ・・・All things must pass.

今日の新聞に作家のリービ英雄さんの記事が載っていました。

「古くから日本人は世の中が移ろいやすく
変わりやすいことを知り、変化に耐える力をもっていたのに、
現代人は安定ばかりを求めたがる」

そして「『かりそめ』という言葉に、古くから日本語に含まれる
大切な世界観がある」という。

現代では一時的とかその場限りといった意味で軽くとらえられているが
古代では命や恋がはかなく切ない様を言い表し
極めて重い意味として使われてきた、と。


All things must pass.
すべては移り変わってゆく。

どんなに変わらないと見えるものも必ず変化する。
人の心も移りゆく。
どんなに愛し合っていても別れは必ず来るし
どんなに深い悩みがあっても、夜は必ず明けるのと同じように
いつかは解決する。

変化は恐れてはならないのかもしれません。

「かりそめの恋」となどというと、
軽々しくてまがい物のようにとらえられがちですが
かりそめであるからこそ、真実があるかもしれない・・・。
(いえ、そういうものを
望んでいるわけでは決してアリマセン)

変化する時間が長いか短いかの違いだけであり
すべては移り変わってゆく。

だからこそ、一瞬一瞬が大切で愛おしく
一期一会として人との繋がりを慈しみ
この一生を大事に生きようと思えるのではないでしょうか。

いいことばかりではないけれど
悪いことばかりでもないはず。

この世は「かりそめの世」ということもできる。

私たちは皆、この仮の世の中に仮の姿で現れる。
この世にあるのは現象だけ。
しかし仮の姿だからといっておろそかにしていいというわけではありません。


保阪嘉内は退学になりました。けれども誰が退学になりましたか。又退学になりませんか。あなたはそれを御自分の事と御思ひになりますか。誰がそれをあなたの事ときめましたか 又いつきまりましたか。私は斯う思ひます。誰も退学になりません 退学なんと云ふ事はどこにもありません あなたなんて全体始めから無いものです けれども又あるのでせう
     (書簡50 保阪嘉内あて 大正7年3月20日前後 より)

突然の云われない除名処分を受けても
それがなんだというのだ、
それは現象のひとつにすぎないではないか。
大事なのは、その現れた現象にどのように対処するか、
どのような作用をする魂であるか、ということではないのか。

すべては移り変わってゆく
かりそめの世界を

リービ英雄さんはいう。
「現代で最『仮』のものは、米国流の資本主義。貨幣経済は常に数字のまやかしに陥る可能性をはらんでいる。数字だけで計るような経済成長を重視する物の見方だが、世の中がずっと成長できるはずがない。世界の多くの人は安定を求めたがるが、安定は長く続かない。世の中は『かりそめ』。変化を恐れない、厳しい状況になっても耐える力が今、必要だと思う」

私もその通りだと思う。
by signaless5 | 2010-01-26 22:51 | 思うこと