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やつてみませう

高校2年の息子が
奇しくも昨日、11月27日にあった期末テストの問題を持ち帰ってきました。


     永訣の朝
 
   けふのうちに
   とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
   みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
      (①あめゆじゆとてちてけんじや
   うすあかくいつそう陰惨(いんざん)な雲から
   みぞれはびちよびちよふつてくる
      (あめゆじゆとてちてけんじや)
   青い蓴菜のもやうのついた
   これらふたつのかけた陶椀(たうわん)に
   おまへがたべるあめゆきをとらうとして
   わたくしは②まがつたてつぽうだまのやうに
   このくらいみぞれのなかに飛びだした
      (あめゆじゆとてちてけんじや)
   蒼鉛いろの暗い雲から
   みぞれはびちよびちよ沈んでくる
   ああとし子
   死ぬといふいまごろになつて
   わたくしをいつしやうあかるくするために
   こんなさつぱりした雪のひとわんを
   おまへはわたくしにたのんだのだ
   ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
   わたくしもまつすぐにすすんでいくから
      (あめゆじゆとてちてけんじや)
   はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
   おまへはわたくしにたのんだのだ
    銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
   そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
   …ふたきれのみかげせきざいに
   みぞれはさびしくたまつてゐる
   わたくしはそのうへに③あぶなくたち
   雪と水とのまつしろな④二相系をたもち
   すきとほるつめたい雫にみちた
   このつややかな松のえだから
   わたくしのやさしいいもうとの
   さいごのたべものをもらつていかう
   わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
   みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
   もうけふおまへはわかれてしまふ
   (Ora Orade Shitori egumo)
   ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
   あああのとざされた病室の
   くらいびやうぶやかやのなかに
   やさしくあをじろく燃えてゐる
   わたくしのけなげないもうとよ
   この雪はどこをえらばうにも
   あんまりどこもまつしろなのだ
   あんなおそろしいみだれたそらから
   このうつくしい雪がきたのだ
      (⑤うまれでくるたて  
       こんどはこたにわりやのごとばかりで
       くるしまなあよにうまれてくる
   おまへがたべるこのふたわんのゆきに
   わたくしはいまこころからいのる
   どうかこれが兜卒の天の食に変って
   やがてはおまへとみんなとに
   聖い資糧をもたらすことを
   わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ

 


問1 傍線部①「あめゆじゆとてちてけんじや」について、
    (1)この文意をわかりやすく記せ。
    (2)この表現は、どのような効果をねらったものか。次の中から適当なものを二つ選び、記号で答えよ。
     ア 地方色 イ 擬声語 ウ 兄弟愛 エ 孤独感 オ 清涼感

問2 傍線部②「まがつたてつぽうだまのやうに」は、作者のどのような気持ちをたとえたものか。35字以内で答えよ。

問3 傍線部③「あぶなくた」つのはなぜか述べよ。

問4 傍線部④「二相系をたもち」について
   (1)表面的にはどういう意味か答えよ。
   (2)この言葉にこめられた心情を述べよ。

問5 「あんまりどこもまつしろなのだ」は、何に対する感慨か述べよ。

問6 傍線部⑤は、妹のどんな思いがこめられた言葉か、30字以内で述べよ。

問7 「わたくしもまつすぐにすすんでいく」という決意は、どんな心情に変化したか、詩中から40字程度の部分を抜き出し、始めの6字を示せ。

 
by signaless5 | 2009-11-28 18:26 | 思うこと