2009年 11月 28日
やつてみませう
奇しくも昨日、11月27日にあった期末テストの問題を持ち帰ってきました。
永訣の朝
けふのうちに
とほくへいつてしまふわたくしのいもうとよ
みぞれがふつておもてはへんにあかるいのだ
(①あめゆじゆとてちてけんじや)
うすあかくいつそう陰惨(いんざん)な雲から
みぞれはびちよびちよふつてくる
(あめゆじゆとてちてけんじや)
青い蓴菜のもやうのついた
これらふたつのかけた陶椀(たうわん)に
おまへがたべるあめゆきをとらうとして
わたくしは②まがつたてつぽうだまのやうに
このくらいみぞれのなかに飛びだした
(あめゆじゆとてちてけんじや)
蒼鉛いろの暗い雲から
みぞれはびちよびちよ沈んでくる
ああとし子
死ぬといふいまごろになつて
わたくしをいつしやうあかるくするために
こんなさつぱりした雪のひとわんを
おまへはわたくしにたのんだのだ
ありがたうわたくしのけなげないもうとよ
わたくしもまつすぐにすすんでいくから
(あめゆじゆとてちてけんじや)
はげしいはげしい熱やあえぎのあひだから
おまへはわたくしにたのんだのだ
銀河や太陽、気圏などとよばれたせかいの
そらからおちた雪のさいごのひとわんを……
…ふたきれのみかげせきざいに
みぞれはさびしくたまつてゐる
わたくしはそのうへに③あぶなくたち
雪と水とのまつしろな④二相系をたもち
すきとほるつめたい雫にみちた
このつややかな松のえだから
わたくしのやさしいいもうとの
さいごのたべものをもらつていかう
わたしたちがいつしよにそだつてきたあひだ
みなれたちやわんのこの藍のもやうにも
もうけふおまへはわかれてしまふ
(Ora Orade Shitori egumo)
ほんたうにけふおまへはわかれてしまふ
あああのとざされた病室の
くらいびやうぶやかやのなかに
やさしくあをじろく燃えてゐる
わたくしのけなげないもうとよ
この雪はどこをえらばうにも
あんまりどこもまつしろなのだ
あんなおそろしいみだれたそらから
このうつくしい雪がきたのだ
(⑤うまれでくるたて
こんどはこたにわりやのごとばかりで
くるしまなあよにうまれてくる)
おまへがたべるこのふたわんのゆきに
わたくしはいまこころからいのる
どうかこれが兜卒の天の食に変って
やがてはおまへとみんなとに
聖い資糧をもたらすことを
わたくしのすべてのさいはひをかけてねがふ
問1 傍線部①「あめゆじゆとてちてけんじや」について、
(1)この文意をわかりやすく記せ。
(2)この表現は、どのような効果をねらったものか。次の中から適当なものを二つ選び、記号で答えよ。
ア 地方色 イ 擬声語 ウ 兄弟愛 エ 孤独感 オ 清涼感
問2 傍線部②「まがつたてつぽうだまのやうに」は、作者のどのような気持ちをたとえたものか。35字以内で答えよ。
問3 傍線部③「あぶなくた」つのはなぜか述べよ。
問4 傍線部④「二相系をたもち」について
(1)表面的にはどういう意味か答えよ。
(2)この言葉にこめられた心情を述べよ。
問5 「あんまりどこもまつしろなのだ」は、何に対する感慨か述べよ。
問6 傍線部⑤は、妹のどんな思いがこめられた言葉か、30字以内で述べよ。
問7 「わたくしもまつすぐにすすんでいく」という決意は、どんな心情に変化したか、詩中から40字程度の部分を抜き出し、始めの6字を示せ。
by signaless5
| 2009-11-28 18:26
| 思うこと